藍染めの染色のしくみ「生葉染め」と「藍建染め」

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藍染めは媒染液を必要とする草木染めの中で、媒染液がいらないという特殊な染め方です。
藍染めがどのように染色されるのか、難しい用語を使わずに説明してみましょう。

藍染めには’生葉染め’と’藍建染め’の2通りのやり方があります。

生葉染め…生葉から染めつける方法

タデ科の植物である藍の葉の部分には「インジカン」という成分を含有しています。
その「インジカン」は無色で存在しているのですが、空気中の酸素と結びつくと「インジコ」という成分に変化して青い色を発色する特徴があります。
その特徴を生かして染める方法が藍染めです。

①まずは、その「インジカン」を葉から取り出さなければなりません。(生葉をミキイサーで粉砕して液体にします。)

②「インジカン」は自身が持つ酵素の働きによって、「インドキシル」と「グルコース」に変化します。

③「インドキシル」を繊維に吸着させて、さらに空気中の酸素と結び付けることで「インジコ」となり、青色に発色します。

この方法で絹や羊毛ならばよく染めることができますが、綿や麻を濃く染めるにはひと手間必要になります。

<生葉染めで木綿や麻を染める>

上記の方法で「インジカン」の水溶液を作ったら、そこにソーダ灰(炭酸カリウム)を加えて水溶液をアルカリ性にします。
さらに強い還元力をもつハイドロを加えると、成分が溶け出します。そこに布を浸して染色します。

最後は同じように、空気に触れさせて酸化させることで藍は定着します。

インジコは水に溶けないが、還元させるとアルカリ性の水溶液の中に溶け出すという性質がポイントです。
・ソーダ灰(炭酸カリウム)で水溶液をアルカリ性にする。
・ハイドロは強い還元力を持っている。

ちなみに…
ソーダ灰・炭酸カリウム・炭酸ナトリウムって同じものなの?調べてみました。

ソーダ灰=炭酸ナトリウムです。
炭酸カリウムは、炭酸ナトリウムよりも水に溶けやすい性質を持っています。
(炭酸ナトリウムは固形せっけんに、炭酸カリウムは液体せっけんなどに使われています。)

また、アルカリ性で身近なものと言えば「重曹」がありますが、重曹は高温のときにアルカリの効力を発揮するので、低温で染める場合にはソーダ灰を使用します。
ソーダ灰の代用に重曹を使用する場合は、重曹はソーダ灰の2倍の量が必要になります。

ちなみに重曹=炭酸水素ナトリウムです。

藍建染め…「すくも」を強アルカリの中で微生物に還元させることで染める方法

生葉を乾燥させたものは葉藍と呼びます。乾燥させた葉藍には酸化した「インジコ」が含まれています。その葉藍に水をかけて発酵させたものが「すくも」です。

①「すくも」をアルカリ性の水溶液に溶かす。

②微生物の働きによって「ロイコ体インジコ」に還元されて、水溶液に溶け出す。

③繊維に吸着さえた後は空気中の酸素と結合させて青色に発色します。

「すくも」を溶かす方法には灰汁を使う方法(本建て)と苛性ソーダを使って発酵させる方法(発酵建て)、苛性ソーダと還元剤を使う方法(化学建て)があります。

このやり方は日本古来から行われてきた方法で、すくもから藍を建てるには何日もかけり、温度管理やPHの管理などの技術が必要になってきます。

ちなみに…
藍染め染色後に酢酸やオキシドールに布を浸すとの指示がされていることがあります。
これは酸化を促し、発色をよくするためです。ない場合はしなくても問題ありません。よく空気にさらして乾かしましょう。

とても手のかかる藍染めですが、上記のような天然藍とは対照に化学藍なるものがあります。
人工藍、インディコピュアなどと呼ばれています。
薬品を混ぜたり、水に溶かすだけで簡単にできるというものがそうです。

本物の藍は年月を経るつれて色が冴えるもので、色落ちするというのは化学藍を使ったものです。
色に深みがあり、洗うほどに青みが増す、熱に強いのが天然藍の特徴です。

化学藍であっても、一部に天然藍が入っている場合は本藍と表示できるので注意が必要です。

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